米マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くテック企業のHubSpot(ハブスポット)が、従業員約660名を解雇すると発表しました。これは全従業員の約7%に相当すると報じられています。
今回の決定は、同社がAIを中心とした戦略への転換を急いでいることに伴うものです。
AI中心の戦略への転換と組織再編
HubSpotのヤミニ・ランガン(Yamini Rangan)CEOは、過去1年で戦略を、顧客の成長を支援するソフトウェアの構築から、AIを用いて顧客に成果を提供することへとシフトさせたと述べています。
この戦略転換は、製品や価格設定、そして顧客へのサービスの提供方法を変えるものであるとしています。また、次なる章における成功に向けて、より迅速に動き、顧客に寄り添い、最優先事項にリソースを集中させる必要があるとも説明しています。
今回の解雇について、ランガンCEOは組織をよりフラットにすること、つまり管理層を減らして意思決定を現場の担当者に近づける取り組みの一環であるとしています。一方で、この決定がAIによる効率化によってもたらされたものではない点にも言及しています。
財務状況と今後の見通し
解雇という厳しい決定を下す一方で、同社の業績は成長傾向にあります。8月の収益報告によると、第2四半期の収益は前年比20%増の約9億1,200万ドルに達しました。ランガンCEOはこの際、AIへの転換を加速させるために意図的な選択を行ったと述べており、AIへのシフトがHubSpotにとってより大きな機会を開き、長期的な複利成長を促進すると自信を示していました。
また、2026年の総収益は、2025年から約18%増の約37億ドルになると予測しています。
一方で、株価については月曜日の終値が220.61ドルとなり、年初から約45%下落していると報じられています。
現場におけるAI導入の現状
HubSpotでは、以前からエンジニアを中心としたAIの積極的な活用が進んでいました。チーフ・プロダクト&テクノロジー・オフィサーのダンカン・レノックス(Duncan Lennox)さんによると、2023年から段階的な導入を行い、強制的な命令なしでエンジニアのAI利用を推進してきたといいます。
具体的には、Claude Code(クロード・コード)やOpenAI Codex(オープンAI・コーデックス)といったエージェント型AIコーディングツールの導入が進められました。当初はエラーや品質、信頼性への懸念がありましたが、AIツールを使用したチームの信頼性が低下していないことをデータで示したことで、利用率が向上したと説明しています。
最終的にはエンジニアの80%が仕事でAIを利用するようになり、その後全社的な波及効果で、現在では従業員の94%がAIを利用しているといいます。
顧客向けAIサービスの変更
戦略転換に伴い、顧客向けのサービスや価格体系にも変更が加えられています。
AIのハイプサイクル(過度な期待から幻滅を経て普及に至る過程)による興奮が収まり、投資に対してより現実的で慎重なアプローチへ移行している現状を受け、製品、価格、ゴー・トゥ・マーケット(市場参入戦略)の変更を行っています。
具体的には、顧客が自社のデータやワークフロー内でAIエージェントを試せるトライアルを導入しました。また、AIコストの予測可能性を求める顧客の声に応え、多くの主要エージェントの価格を引き下げています。
特に、Breeze Customer Agent(ブリーズ・カスタマー・エージェント)とBreeze Prospecting Agent(ブリーズ・プロスペクティング・エージェント)の2つの主要AIエージェントについては、成果ベースの価格モデルへ移行しました。顧客エージェントは解決された会話1件につき0.50ドル、プロスペクティング・エージェントは適格なリード1件につき1ドルで請求されます。これは、AIが消費する計算リソースではなく、提供した価値に基づいて価格を設定すべきだという考えに基づいています。
解雇従業員への支援策
今回の解雇対象となった従業員に対しては、移行支援として以下のパッケージが提供されるとしています。
- 少なくとも20週分の基本給(勤続年数1年につき1週分を加算し、最大30週分まで)の退職金
- 5ヶ月間のヘルスケア特典
- キャリアサポートおよび求職活動の支援
- 使用していたHubSpot製ラップトップの保持
出典 CBS News The Boston Globe Fortune Tokenomics – the HubSpot worldview as CEO Yamini Rangan looks to meet the needs of customers seeking AI confidence Big CX News: Oracle, Salesforce, HubSpot, Microsoft — CX Today
ピックアップ記事



