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ペンタゴンがAnthropicのAIツール使用を停止、背景に安全策を巡る対立

米国国防総省(ペンタゴン)が、AI開発企業であるAnthropic(アンソロピック)社のAIツールの使用を停止したことが報じられています。BBCなどの報道によると、ペンタゴンは同社を国家安全保障上のサプライチェーンリスクに指定しており、それに伴う措置とみられます。

今回の決定に至った経緯と、AIの運用を巡る政府と企業の対立という背景について調べてみました。

目次

突然の使用停止と「サプライチェーンリスク」の指定

ペンタゴンの当局者は、同省がAnthropic製品の使用を停止したことを明らかにしています。もともとピート・ヘグセス国防長官は、2026年2月にAnthropicをサプライチェーンリスクとして指定し、8月下旬までに使用を停止することを発表していました。

サプライチェーンリスクとは、製品やサービスの供給網に脆弱性や脅威がある状態を指します。この法的措置は通常、米国に脅威をもたらす国に拠点を置く企業に対して適用されるものです。

しかし、実際の実装には時間がかかっていたようです。関係者の話では、直近の先週まで、研究や分析、情報収集、さらにはイランに対する軍事作戦において、同社のAIモデルであるClaude(クロード)が依然として使用されていたと報じられています。Claudeは膨大な情報を整理するための重要なツールとして活用されていたため、システムからの迅速な削除が困難だったのではないかと、ジョージタウン大学のローレン・カーン上級研究アナリストは分析しています。

具体的には、パランティア社が運営し、ペンタゴンの主要な情報整理プラットフォームとなっているMaven Smart System(メイベン・スマートシステム)にClaudeが深く組み込まれていたことが要因とみられています。

対立の核心:AIの「安全策」を巡る攻防

なぜ、政府機関の初期パートナーであったAnthropicが、このような厳しい措置を受けることになったのでしょうか。そこには、AIの制御権と倫理的な利用に関する深刻な意見の対立がありました。

ペンタゴンは、Claudeに組み込まれている安全策(セーフティガードレール)を撤去し、軍がAI製品へ制限なくアクセスすることを同社に求めました。これに対しAnthropic側は、大量監視や自律型兵器への利用に対する懸念を理由に、この要求を拒否しました。

この拒否反応を受けて、ヘグセス国防長官は同社を国家安全保障上のサプライチェーンリスクに指定しました。軍側は、Anthropicが軍の運用上の決定に対して拒否権を握ろうとしていると主張したと報じられています。

法廷での争いと現状

Anthropicはこの指定を不当として、トランプ政権を相手に訴訟を起こしました。同社は、自律的な致死兵器や米国人の大量監視への利用に反対したことに対する政府の報復であると主張しています。

この件を巡っては複数の裁判所が関わっています。ワシントンD.C.の連邦控訴裁判所は、ペンタゴンによるブラックリスト指定を支持する判決を下しました。判決の中でグレゴリー・カッツァス判事は、Claudeを情報システムに統合し続けることが、法律で規定された国家安全保障上のリスクを提示しているという結論には十分な根拠があるとしています。

一方で、別の連邦裁判所では政府による同様の指定を違法とする判断も出ています。また、控訴裁の判事の中には、請負業者が誠実に制限を適用していることをサプライチェーンリスクとして扱うのは法律の解釈として正しくないとする反対意見を述べている人もいます。

Anthropicの広報担当者は、裁判所の決定に同意しないとしつつ、さらなる審査を含めすべての選択肢を検討していると述べています。

今後の影響と代替ツールの動き

ペンタゴンはAnthropicの代替として、Google(グーグル)やOpenAI(オープンAI)、xAIなどの大手テック企業と契約を結んでいます。特にOpenAIのツールは、ここ数ヶ月で一部の軍部門においてより広く採用されているとみられています。

こうした動きに対し、GoogleやOpenAIの一部の従業員からは、Anthropicが拒絶した軍との契約に同意したことへの倫理的な懸念から反発の声も上がっています。しかし、各社は米国政府を支援することは極めて重要であるとして、これらの抗議を退けている状況です。

Anthropic側は、政府から「パリア(のけ者)」のような扱いを受けたことで、顧客が取引を不安視し、収益に影響が出たとしています。それでも、同社は最近の売上成長を強調しており、年内の株式公開(IPO)の可能性に向けて動いていると報じられています。

軍とAI企業の関係は、単なるツールの導入ではなく、AIの「倫理的な制限」を誰がコントロールするかという、国家安全保障と企業哲学の激突という側面を持っていることがわかります。

出典 BBC CNBC WIRED ABC News Pentagon stops using Anthropic's AI tools, months after declaring it a supply chain risk

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