俳優としてだけでなく映画監督としても活動するジョセフ・ゴードン=レヴィットさんが、AI(人工知能)の開発状況とそれを構築する人々について、強い懸念を表明しています。
ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)のビデオインタビューやメディアの報道によると、ゴードン=レヴィットさんは、AIそのものへの恐怖よりも、AIを開発している企業やその背後にある構造に注目すべきだと主張しています。
AIが狙う「親密さの乗っ取り」と社会への影響
ゴードン=レヴィットさんは、現在のAIモデルがユーザーの親密さを乗っ取り、友だちにならせたり、AIに恋をさせたりするようにトレーニングされていると警告しています。
また、AIが人類を絶滅させるというような極端な恐怖を煽ることは、懸念の本質を捉えていないと述べています。彼が本当に危惧しているのは、より複雑で密度の高い問題であり、具体的には民主主義の衰退や、人間としての共感力の低下であると説明しています。
特に、AI開発企業が経済全体を支配しようとしている点について、それは全体主義につながり、非常に悪い状況になると指摘しています。
開発構造への疑問と人間中心のガバナンス
ゴードン=レヴィットさんは、AIの技術自体が悪いと考えているわけではないと述べています。AIにはより多くの人々を力づける可能性があると考えていますが、現状の進んでいる方向は異なると見ています。
現在は、権力が多くの人々から奪われ、ごく少数の人々の手に集まる方向へ進んでいると指摘しています。また、企業は株主価値を最大化することにインセンティブがあるため、それが必ずしも人々にとって良い技術になるとは限らないとTIME誌に語っています。
こうした背景から、民間企業だけが技術の開発や展開を決定づけるべきではなく、私たちは単なる顧客ではなく、提唱者(アドボケイト)にならなければならないと主張しています。
彼は2026年3月に、国連(United Nations)において、デジタル技術が日常生活や権利、機会をどのように形作るかについて公衆の理解を深めるための新しい役職に任命されました。そこで彼は、人間中心のデジタルガバナンス(人間中心のデジタル統治)を推進しており、デジタル技術は人々によって、そして人々のために統治されるべきだと説明しています。
エンターテインメント業界への影響と今後の活動
俳優および映画制作者として、ゴードン=レヴィットさんはAIがストーリーテリング(物語ること)に与える影響にも懸念を抱いています。
彼は、AIモデルが盗まれたデータから構築されていると述べており、コンテンツや個人データの提供者が同意し、正当な報酬を得られるシステムを構築する必要があると考えています。
こうした活動の一環として、彼はCreators Coalition on AIというグループを共同設立しました。このグループは、ハリウッドにおける意見を集約し、公正な報酬や雇用の保護、ディープフェイク(AIによる偽動画・音声)へのガードレールの設置などを求めています。また、エンターテインメントプロジェクトでAIが使用される場合に備え、倫理的および芸術的な保護策や共通基準を確立するための諮問委員会も設けています。
さらに、ゴードン=レヴィットさんはストーリーテラーとしての貢献を重視しており、数字や政策などの議論だけでは限界があると考えています。そこで、これから制作予定のタイトル未定のスリラー映画を通じて、AIが普及した新しい世界で人間がどのように感じるかという人間的な体験を伝えたいと考えています。
最後に彼は、自身の言葉を鵜呑みにするのではなく、スチュアート・ラッセルさんの著書「Human Compatible」を読んだり、AIのアライメント(調整)や安全性、政策に携わる人々の投稿を読んだりすることを勧めています。
出典 The Hollywood Reporter Variety Deadline TIME Joseph Gordon-Levitt Says AI Model Are 'Being Trained to Hijack Your Intimacy' Joseph Gordon-Levitt makes Sundance appearance, reflects on career and Ai's role in Hollywood – ABC7 New York
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