米国の保護者団体であるMoms for Liberty(マムズ・フォー・リバティ)が、全米13,000の学区における教育委員会の議題を監視するためにAI(人工知能)ツールを導入したことが報じられています。
この取り組みの目的は、議論を呼ぶ可能性のある政策について、投票が行われる前に保護者へ事前警告を提供することにあるとFox Newsが伝えています。
AIツールによる監視の仕組みと狙い
Moms for Libertyが導入した新しいAIツールは、教育委員会の議題から特定の項目を迅速に特定することを可能にします。具体的には、DEI(多様性・公平性・包括性)に関する契約や、ジェンダーに関する政策などが含まれる議題を抽出します。
同団体の共同創設者兼CEOであるティナ・デスコビッチ(Tina Descovich)さんは、Fox News Digitalへの声明で、AIを活用することで全米の教育委員会の監視を強化し、かつてないほど保護者に力を与えることができると述べています。
これまでの活動について、デスコビッチさんは過去5年間、保護者に教育委員会の会合への出席を呼びかけてきており、実際に多くの保護者が応じたとしています。しかし、毎週数千ページに及ぶ議題を精査することは非常に時間がかかり、教育区側はその点に依拠しているという課題がありました。
AIツールの導入によって、議題が週の後半に遅れて公開された場合でも、メンバーや他の保護者が懸念される政策を素早く特定できるようになります。これにより、当局が行動を起こす前に、家族が対応するための時間を確保できるとデスコビッチさんは説明しています。
システムが優先度の高い項目を検出すると、地域のMoms for Liberty支部に対して、平易な言葉による要約と、保護者が会合前に組織化するための共有用アラートが送信される仕組みになっています。
団体を取り巻く背景と政治的対立
Moms for Libertyの活動は、政府や教育機関との激しい対立を伴ってきました。デスコビッチさんは、バイデン政権が教育委員会の会合に出席した保護者を標的にしたと主張し、「活動はまだ始まったばかりだ」(私たちはまだ始まったばかりだ)と述べています。
また、同団体は学校でのジェンダー移行に関する政策についても強く反対しています。ニュージャージー州の学区を相手取った訴訟において、デスコビッチさんは、保護者は子供の主要な教育者であり養育者であり、教育委員会やカウンセラー、あるいは閉ざされた扉の裏で秘密裏にジェンダー移行を推進する思想家ではないと言及しています。学校が保護者に隠れて人生を変えるような決定を行ったり、良心や信仰に反する思想を子供に肯定させたりすることを容認しない姿勢を示しています。
意外な連携と教育テクノロジーへの視点
一方で、同団体は教育現場におけるテクノロジーの利用制限という点では、かつての敵対関係にあった組織と手を組むという意外な動きも見せています。
NBC Newsによると、Moms for Libertyは公立学校におけるエドテック(教育テクノロジー)への対抗という共通の目的から、教師組合などと協力し始めています。具体的には、教室でのラップトップ使用時間の制限などを求めており、保守的な保護者グループがリベラル傾向にある保護者や地元の教師組合と結託し、州の立法者や学区に働きかけている状況です。
アイオワ州では、共和党の議員でありMoms for Libertyの支部リーダーでもある人物が、小学生のコンピュータ利用を制限し、保護者がデバイス利用を拒否(オプトアウト)できるようにする法案を共同提案しており、地元の教師組合がこれを支持しています。
デスコビッチさんは、全国的な教師組合については「despicable」(卑劣だ)と考えているものの、州レベルの団体とは協力できるとしています。子供の親としての権利を第一に考え、それを守ろうとするのであれば、いつでも彼らと共に立つと述べています。
また、全米教師連盟(AFT)のランディ・ワインガーテン(Randi Weingarten)会長は、エドテックを巡る戦いでMoms for Libertyが教師たちと協力することについて、自分たちが敵ではないことを示しているとして、肯定的に捉えています。
保守系シンクタンクであるヘリテージ財団(The Heritage Foundation)の研究員、コーリー・ディアンジェリス(Corey DeAngelis)さんは、この動きが政党の枠組みを超えたものであると指摘しています。多くの課題が党派的に分断されている中で、教育テクノロジーの問題は、これまで右派グループに支持的ではなかった一般の保護者とも接点を持つ機会になると分析しています。
まとめると、Moms for LibertyはAIという最新テクノロジーを導入して教育委員会の監視を効率化させる一方で、教育現場におけるデバイス利用などのテクノロジー導入には慎重な姿勢を見せており、目的によっては対立陣営とも連携するという戦略的な動きを見せています。
出典 Fox News NBC News Moms for Liberty sues New Jersey school district | Advocate.com
ピックアップ記事



