SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を展開するMeta社が、AIデータセンターの構築に関連して、米国連邦税を大量に回避しているという報道が相次いでいます。
複数の報道によると、Meta社はAIデータセンターを「「パイロットモデル」」、そこで使用されるNvidia(エヌビディア)社などの高性能チップを「実験的な材料」として分類し、連邦政府の研究税制クレジットを申請しているとされています。
研究税制クレジットへの申請と節税額
この研究税制クレジットは、もともと1981年に、革新的な新技術やプロセスの発見を目的とした研究開発や実験を奨励するために導入された制度です。通常、企業は研究員やエンジニアへの支払いにこのクレジットを申請しますが、Meta社はAIデータセンターで使用するチップなどの設備を研究用の資材として扱い、還付を受けていると報じられています。
この手法による節税額は急速に増加しており、ニューヨーク・タイムズ誌などの報道によれば、研究税制クレジットによる金額は2023年の7億ドルから、2024年には20億ドル、2025年には39億ドルにまで跳ね上がったとのことです。これにより、Meta社は上場企業の中でこの税額控除の最大の受益者になったとみられています。
公的な主張と税務申告の矛盾
しかし、この「パイロットモデル」という分類は、Meta社が投資家や一般に向けて発信している内容と矛盾しているとの指摘が出ています。
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、2025年1月にはこれらのデータセンターが自社のコア製品やビジネスを推進するものになると述べています。また、同年にはマンハッタンの大部分をカバーするほどの規模になる2GW(ギガワット)以上のデータセンター計画を発表していました。
こうした背景から、本来は標準的な事業運営のための設備投資であるはずのものを、「不安定な実験」であるとして税務署(IRS)に申告し、研究開発用の還付を受けているのではないかという疑念が生じています。
内部での懸念と法的リスク
この戦略は、Meta社の内部でもリスク視されていると報じられています。同社の会計士たちは、この分類が非常にグレーゾーンにあり、IRSによって節税分が覆される可能性があることを危惧しているとされています。
実際に、Meta社は証券取引委員会(SEC)への提出書類の中で、研究税制クレジットに関する不確実性をリスクとして挙げています。未認識の税務上の利益に対する準備金は45%増加し、187.4億ドルに達したとのことです。また、昨年に申請した税制上のメリットのうち、26億ドル以上が不確実であると認めています。
また、Meta社の監査人を務めるEY(アーンスト・アンド・ヤング)が、この同様の手法を他のAI企業にも提案しているという報道もあります。
政治的な議論と社会への影響
この問題は、米国の政治的な争点にも発展しています。民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員らは、Meta社を含む大手テック企業のCEOに対し、AIおよびデータセンター開発への税制補助金に関する情報を求める書簡を送りました。
議員らは、企業の収益が増加している一方で法人税の支払額が減少していることを挙げています。特に、2025年に成立した「one big beautiful bill」(通称OBBBA)などの税制措置により、多額の設備投資が即座に控除されており、結果として納税者がMeta社のAIインフラ拡大を実質的に補助している形になっていると主張しています。
これに対し、ホワイトハウスのクッシュ・デサイ(Kush Desai)報道官は、この法案のような成長促進規定が、テクノロジーから製薬に至るまで、産業全体で歴史的な雇用と投資、賃金の成長を牽引していると述べています。
財務状況と今後の展望
絶大な節税メリットを受けているとはいえ、Meta社のAI投資は財務に大きな圧力をかけています。最新の決算報告によると、四半期のフリーキャッシュフローは7.84億ドルまで低下しており、前年同期比で約80億ドルの減少となりました。
AI分野への巨額投資が期待通りの収益を上げられなかった場合、チップ供給元であるNvidia社などのビジネスにも悪影響が及び、業界全体にドミノ倒しのような影響を与える可能性があるとの懸念も指摘されています。
Meta社の広報担当であるアンディ・ストーン(Andy Stone)さんは、過去5年間で研究開発に2,000億ドルを投じており、そのうち昨年だけで570億ドルを支出したと述べています。そのうえで、議会が数十年前から設けている国内投資を奨励するための税制優遇措置を利用していると説明しています。
出典 Gizmodo CNBC The Decoder Meta’s Outlandish Tax Breaks for AI Data Centers – ITEP Meta Saved Nearly $4 Billion In Taxes Last Year By Calling Its AI Data Centers ‘Experimental’ Meta reportedly calls its AI data centers ‘pilot models’ — its research tax credits jumped from $700M to $3.9B Faster Tax Write-Offs Freed Up Cash for Meta’s AI Data Centers Meta's AI Spending Has a $3.9 Billion Tax Perk — Mark Zuckerberg-Led Company Reportedly Classified Data C – Benzinga
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